2018.9.30.
ミカ書5:1〜3、 ルカによる福音書 2:1〜7

「本当の救い主は誰か」

ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。 (6〜7節)

 きょうの聖書の箇所に出てまいります皇帝アウグストゥスは、ローマ帝国の最初の皇帝です。彼は、ローマ市民の人気も高く、政治指導者として絶大な権力を誇り、ローマの最初の皇帝に祭り上げられたのです。彼の後の200年間は、「パックス・ロマーナ(ローマの平和)」と呼ばれて、ローマ帝国は最も栄え安定と平和を享受しました。そのため民衆からは、彼は「救い主」と褒め称えられたほどでした。主イエス・キリストはまさに、アウグストゥスの治世に生まれました。その皇帝アウグストゥスが、全領土の住民に対して住民登録をせよとの勅令を出したのです。そのためマリアは身重の身体で婚約者のヨセフと共にベツレヘムに旅立ちました。それはヨセフのルーツが ベツレヘムだったからです。彼の祖先はダビデ王でした。ルカは、このことを通してわたしたちに何を示そうとしたのでしょうか。

きょう一緒に読みました旧約聖書のミカ書5章1節には次のようにあります。 「エフラタのベツレヘムよ/お前はユダの氏族の中でいと小さき者。お前の中から、わたしのために/イスラエルを治める者が出る。彼の出生は古く、永遠の昔にさかのぼる。」

旧約聖書においてイスラエルを治める者、支配者が出ると預言されていました。皇帝アウグストゥスの勅令、住民登録をせよとの勅令が出たことによってヨセフとマリアはベツレヘムに向かい、そこでイエス・キリストが生まれたのです。神が皇帝アウグストゥスをお用いになって預言を成就してくださったのです。イエス・キリストは、救い主としてこの世にお生まれになりました。イエス・キリストは、そのご生涯において多くの人の病を癒やし、悪霊を追い出されました。そして神はその愛する御子イエス・キリストを十字架にかけられ、復活させることによってわたしたちの深い罪を贖ってくださり、わたしたちが永遠の命に生きる道をお与えくださったのです。天の父なる神は、主イエス・キリストを通して人類に救いをお与えになったのです。それは旧約の昔から神がすでに計画しておられたことでした。神は、この世のすべてを支配しておられ、きょうの聖書の箇所にもありますように皇帝アウグストゥスをもお用いになってその救いの御業を成し遂げられるお方なのです。

ヨセフは、身重のマリアを連れてベツレヘムに向かいました。彼らは不安のなか旅を続けたことでしょう。困難を伴う旅であったことでしょう。しかし、その旅は、人類の救いにも通じる旅でした。もちろん彼らはそのときそんなことは知る由もありません。それは神のご計画の中にあったことでした。神はこのような困難な出来事を通して救いの御業を成し遂げられたのです。いまを生きるわたしたちも、困難な出来事に直面し、不安の念にさいなまれるということが起こってまいります。しかし、すべてを支配しておられる神は、そのようなこともすべて御手のうちにおいてくださり、そのことをもお用いになって救いの御業を成し遂げてくださるのです。その神にどこまでも信頼して、困難の中にあっても希望を持って歩む者たちとされたいと思うのです。

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