2018.8.19.
詩編98:1〜9、 ルカによる福音書 1:1〜4

「救いは実現する」

「お受けになった教えが教えが確実なものであることを、よく分かっていただきたいのであります。」 (4節)

この福音書は、誰が書いたものなのかということはよくわかっておりませんが、使徒パウロの同労者ではなかったかという説があります。彼は医者で、病気がちであったパウロを助けて伝道旅行に同行していたと新約聖書に記されています。1節から2節にもありますようにこの福音書の著者とされるルカは、主イエス・キリストと同時代に生きた人ではなく、ヨハネやペトロなどの使徒たちの後の世代です。ルカによる福音書の1章1節から2節に 「わたしたちの間で実現した事柄について、最初から目撃して御言葉のために働いた人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手を着けています。」とあります。ルカは、主イエスの行われたことを目撃した使徒たちが書き留めた証言を読んで信仰に入った人でした。彼は、その証言を調べてこの「ルカによる福音書」を書いたのでありましょう。その証言には、「マルコによる福音書」も含まれていたことはほぼ確実であると考えられています。なぜこのことを取り上げたかと申しますと、わたしたちは、主イエス・キリストを実際に目撃していないけれども、その主の御業や御生涯について記されたものにより、信仰を得て、信仰を言い表すということにおいてルカと同じだからです。ルカはなぜ主イエスキリストの御業を直接に目撃していないにもかかわらず、信仰を得て、信仰を言い表すことができたのでしょうか。1節にあります「わたしたちの間で実現した事柄」という箇所に注目したいと思います。このことは、主イエスの十字架によってなされた出来事に関係することは確実です。この出来事によってわたしたちの罪が赦され、主の再臨の日にわたしたちに復活の命が与えられ、永遠の命に生きる希望が与えられたということです。「実現した」と訳されている言葉は、直訳すると「実現しつつある」という意味です。またこの「わたしたち」ということの中には、ルカもわたしたちも含まれているのです。それは「教会」を表すのです。2,000年前に起きた出来事が決して過去の出来事に終わらずに、わたしたちの前で実現しつつある事柄なのだと言うことなのです。この神の救いの出来事は、主の再臨の日に完成いたします。わたしたちの周りや世界には依然として多くの罪があり、不幸な出来事が起こっています。このことはわたしたちの世界がまだ救いの完成の途上にあることを示しています。救いの完成に向けて神は、いまも生きて働いてくださっているのです。そのことを、主イエスを直接目撃したわけでもないルカやわたしたちが信じることが出来るのは、聖書を読み、教会の礼拝において神の御言の説教に聴くことにより、わたしたちの前に現実のものとして示されるということからなのです。主がわたしたちの前においでになって聖霊の力によってわたしたちにそのことを示されるのです。「ルカによる福音書」は、そのことをわたしたちに力強く示し、隣人に伝えていくことを意図して書かれました。わたしたちもまたそのことを踏まえてこの福音書にしっかりと聴き、御言の恵みを受けて、伝道の業に励むことが出来るように祈り求めてまいりたいと思います。

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